出版社内容情報
ヒトはなぜ絵を描くか.脳の視覚情報処理の過程が,描かれるもののなかでどう表現されてきたのか.画家の創造性や独創性とは脳のどのような働きか.近代絵画成立史を脳科学からみる. 毎日出版文化賞受賞
内容説明
神経内科医の臨床経験からうかびあがる、ピカソ、モンドリアンたちの視覚世界。
目次
序章 描くヒト
第1章 見るということ(網膜に写る世界;大脳皮質に写る世界 ほか)
第2章 描くということ(描くための基本技術;描画の脳機構 ほか)
第3章 脳から見た絵画の進化と視覚的思考(心像絵画;網膜絵画 ほか)
第4章 絵画における創造性(視覚的思考;創造性と独創性)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月世界旅行したい
9
認識以外のことが書いてあるのは、この手の本にしては珍しいと思う。2015/03/05
isao_key
8
神経心理学という脳化学の専門家である著者が脳に損傷を負った人が描く絵と、古今東西の画家たちの作品、手法を比較して考察を加えている。第1章見るということ、は視覚性失調症の患者のデータや絵から、その特徴を分析している。第2章描くということ、によると描画において右半球のほうが左半球より優れているとかんたんに結論づけることはできないという。左右の大脳半球には、それぞれ得意とする情報処理能力様式があり、ヒトは、これを適宜、縦横無尽に使いこなしていると考えられる。第3章脳から見た絵画の進化と視覚的思考、は絵画の将来。2014/01/17
Kayo Matsumura
1
内容忘れたけど
もつ
1
最強の画家を目指して、基礎固め。2012/11/22
一穂青燈
0
非常に変わった切り口の一冊。幼少の頃に美術に親しみ医学の道に進んだ筆者が、「見る」「描く」「絵画の進化」「創造性」について神経細胞など脳外科的なアプローチと美術史を横断的に語っています。正直、神経科学的な内容は高度すぎて理解し得てはいませんが、脳損傷患者から「脳の機能と見え方」を解き明かす試みや、ヒト以外の霊長類にも描画を行った記録(特にメスが)がありながら描くことをはじめなかったことなど、非常に興味深いです。人間の「見る」ことへの理解と絵画史が連動しているという発見は、独特で貴重なものだと思います。2017/10/18