出版社内容情報
《内容》 動脈硬化巣内の平滑筋細胞は通常中膜由来である。この過程には、中膜平滑筋細胞のフェノタイプ変換、内膜への遊走、増殖、結合織の産生の4つのプロセスがある。これらは他の血管細胞と相互作用を行い、また種々の病態の影響を受ける。本書では、分子的基礎として、平滑筋細胞の遊走・増殖、結合組織産生(TGF-β)、内皮細胞増殖(VEGF)のシグナル伝達の最新の知見を解説。また、「細胞間の相互作用」と「病態と平滑筋細胞」を取り上げ、さらにアンチセンス療法、Decoy療法や各種遺伝子治療など増殖抑制をめざした「平滑筋主体の動脈硬化治療」について言及している。 《目次》 平滑筋細胞と動脈硬化の歴史……オーバービューに代えてⅠ.分子的基礎 A.平滑筋細胞の収縮の分子機構B.フェノタイプ1.フェノタイプ変換とシグナル伝達および遺伝子発現機構2.フェノタイプ変換とマトリックス3.フェノタイプの変換因子4.平滑筋細胞のマクロファージ様形質転換C.増殖のシグナル伝達2.ヘパリン結合性EGF様増殖因子3.エンドセリン4.血管平滑筋細胞と細胞周期D.遊走のシグナル伝達2.MMP/TIMPと平滑筋細胞の遊走E.結合組織産生のシグナル伝達:TGF-βF.内皮細胞の増殖とシグナル伝達(VEGFとその受容体を中心に)Ⅱ.細胞間相互作用A.血管内皮による血管平滑筋の弛緩・収縮の制御B.マクロファージによる平滑筋細胞増殖激C.Tリンパ球による平滑筋細胞の増殖修飾Ⅲ.病態と平滑筋細胞A.エストロゲン受容体と平滑筋細胞B.高血圧と平滑筋細胞C.糖尿病と平滑筋細胞Ⅳ.平滑筋細胞主体の動脈硬化の治療A.内因性動脈硬化抑制因子B.プロブコールとPTCA後の再狭窄C.EPAとPTCAD.アンチセンス療法・Decoy療法E.遺伝子治療[1]変異型増殖因子受容体と動脈硬化[2]内皮細胞機能の維持並びに修復の見地からみた血管病変の遺伝子治療[3]心移植後冠動脈硬化症と遺伝子治療[4]ヒト血管遺伝子治療の現況