出版社内容情報
勉強ぎらいでわがままな11歳の王子.彼の浅はかな言動がきっかけで,邪悪な魔術師により城中の人間が人形に置き換えられてしまった.その絶望的な状況に王子はどう立ち向かうのか? そして,城の人たちは無事帰還することができるのか? 「人工知能」と「人間の言葉」をテーマとして,『白と黒のとびら』『精霊の箱』の著者が創作する新たな世界.
内容説明
勉強ぎらいでわがままな11歳の王子。彼の浅はかな言動がきっかけで、邪悪な魔術師により城中の人間が人形に置き換えられてしまった。その絶望的な状況に王子はどう立ち向かうのか。「人工知能」と「人間の言葉」をめぐる新たなストーリー。
著者等紹介
川添愛[カワゾエアイ]
1996年九州大学文学部文学科卒業(言語学専攻)。2005年同大学大学院にて博士号(文学)取得。2002‐2008年国立情報学研究所研究員。2008‐2011年津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授。2012‐2016年国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授。作家。専門は言語学、自然言語処理。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あおでん@やさどく管理人
24
機械が人間の言葉の意味、そして意図を理解することの難しさは何となく感じていたが、この本で少しクリアになったと思う。言葉の話で具体例も多く、「白と黒のとびら」や「精霊の箱」より読みやすい(途中で出てきた”G”と”A”はもしや…?)。2018/03/30
田中寛一
20
主題や副題の「人工知能の意図理解をめぐる物語」は難しそう。が、11歳の勉強嫌いの王子が主人公で、最後まで面白く読めた。アニメなどになって子どもたちが見るのもよさそう。王子に下された命令を人形がどう受け取りどう実行するのか。思いもつかない人形の行動。人間が当たり前に思っていることを人形に実行させることがどれほど大変なことか、読んでいて納得。AIの進歩は目覚ましいが、その裏では多くの困難があることを感じた。人形を操ることで王子自身も成長していく姿も良く、物語の展開にもワクワクさせられた。2018/04/06
やまやま
18
王子の成長物語として、言語を機械がどう理解できるのかを寓話化しています。物語部分は、王子が人間的コミュニケーションが活用できない世界を悪の権化に騙されて実現してしまうが、周囲の賢者の助けにより幸せな世を取り戻すという話です。王子の利己的・反知性的な行動が「悔いる」という感情に結実していく部分は、「善悪」「価値観」といったものはやはり機械が持てないという風にも捉えられますが、著者は入れ子で「果たしてそうかな」と問いかけているようにも思えます。改めて、人間は少ない経験から有効な一般的仮説を得るのは驚愕します。2021/08/20
izw
13
昨年12月、出版直後に、三省堂に著者のサイン本が積まれていたので購入してしまったが、半年積読したままだった。読み始めると非常に面白く、一気に読み終えた。ロボット・AIは、言語の理解は難しい、言葉の意味を理解していない、できない、ということがテーマだが、単なる物語としても楽しめた。2018/07/03
スプリント
12
人間がいかに複雑な判断しながら行動しているのだということと、人工知能を実用化するための難易度の高さを実感できます。2019/11/10