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出版社内容情報
これまで5分冊としていた内容を、1.治療編、2.疫学・診断編の2分冊に再構成し、大幅に改訂した。本書には、「薬物療法(CQ1-47)」、「外科療法(CQ1-34)」、「放射線療法(CQ1-17)」、「治療に関する診断(計9CQ)」のCQと推奨グレードを掲載し、治療領域の内容を網羅している。薬物療法では2010年版に引き続き、それ以外の領域では今回初めて推奨グレードCをC1とC2に分け、推奨レベルがより分かりやすくなっている。
『序』より
ガイドラインは日常診療を行ううえでの支援ツールとして今ではなくてはならないものとして普及している。利用者も医師に限らず、看護師、薬剤師、技師、関連企業、行政担当者など幅広く利用されている。これほど普及してきた理由は、医療の標準化、均てん化、効率化、安全性の向上など種々の意義が存在するからである。しかし、その目的は最終的に患者一人一人が良質の医療を受けるためのものであり、決して医師の裁量を否定するものではない。乳癌の分野では2001年より開始された厚生労働科学研究費補助金事業「科学的根拠に基づく乳がん診療ガイドライン作成に関する研究」を受け継ぎ、2004年に日本乳癌学会より刊行されたのが本ガイドラインのはじまりである。
ガイドラインにはその時代における標準治療を載せているため、エビデンスの蓄積あるいはその解釈の変更に合わせての改訂が必須となる。そのため、本ガイドラインは3年ごとに改訂されてきた。今回の改訂は種々の意味で大幅な改訂となっている。一つはWebによる公開を同時に行ったことである。医学の進歩は日進月歩であり、頻繁な改訂が必要となるが、電子媒体にすることで改訂が容易となる。同時にiPadをはじめとするIT機器の普及により利用環境が整ってきたこともWeb版を開始する一つの理由である。二つ目は、冊子版も今までの5分冊から治療編と疫学・診断編との2分冊に変更したことである。これにより全体の俯瞰が容易にできるようになり、Web版と相補的な関係が構築できると考えられる。三つ目は内容の改訂である。薬物療法は昨年改訂されたばかりであるが、その他は3年ぶりの改訂であり、CQの追加、推奨グレードの変更など重要な改訂がなされている。
ガイドラインは海外のものを含めていくつか利用されており、おのおの特徴がある。本ガイドラインは、わが国の専門医が種々のエビデンスを吟味しながらわが国の実情に合わせて作成しており、今後とも利用者に信頼され、最も使用されるガイドラインを目指したいと考えている。ガイドライン作成は日本乳癌学会の重要な事業の一つであり、さらなる充実のために今後とも皆様のご協力をお願い申し上げる次第である。
乳癌診療ガイドラインの使い方
アルゴリズム:1.非浸潤癌、2.浸潤癌、3.術後薬物療法、4.術前化学療法、5.転移・再発乳癌、6.腋窩リンパ節に基づく病期診断、7.術後内分泌療法
薬物療法
総論 乳癌薬物治療の基本原則
●初期治療:術前治療
総論
CQ1 ホルモン受容体陽性原発乳癌に対して術前内分泌療法は勧められるか
CQ2 手術可能浸潤性乳癌に対して術前化学療法は勧められるか
●初期治療:術後治療
総論
CQ3 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として、タモキシフェンおよびLH-RHアゴニストは勧められるか
CQ4 閉経前術後ホルモン受容体陽性乳癌に対する化学療法後の卵巣機能抑制療法は勧められるか
CQ5 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対して術後LH-RHアゴニスト+アロマターゼ阻害薬は勧められるか
CQ6 閉経前または閉経期乳癌に対してアロマターゼ阻害薬の単剤使用は勧められるか
CQ7 閉経後ホルモン受容体陽性乳癌の術後内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬は勧められるか
CQ8 閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対するタモキシフェンもしくはトレミフェンは勧められるか
CQ9 非浸潤性乳管癌に対する乳房温存手術後に内分泌療法は勧められるか
CQ10 原発乳癌に対してアンスラサイクリンを含まない術後化学療法は勧められるか
CQ11 原発乳癌に対してアンスラサイクリンにタキサンを追加した術後化学療法は勧められるか
CQ12 原発乳癌に対する術後薬物療法として、経口フッ化ピリミジン系薬剤は勧められるか
CQ13 HER2陽性術後乳癌に対して化学療法+トラスツズマブは勧められるか
CQ14 早期乳癌術後患者に対して予後改善を目的としてビスフォスフォネート製剤を使用することは勧められるか
●転移・再発乳癌の治療
総論
CQ15 閉経前ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して内分泌療法は勧められるか
Q15-a 一次内分泌治療
CQ15-b 二次以降の内分泌治療
CQ16 閉経後ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して内分泌療法は勧められるか
CQ16-a 一次内分泌治療
CQ16-b 二次以降の内分泌治療
CQ17 HER2陰性転移・再発乳癌に対して化学療法は勧められるか
CQ17-a 一次化学療法
CQ17-b 二次化学療法
CQ17-c 三次以降の化学療法
CQ18 HER2陽性転移・再発乳癌に対する一次治療として抗HER2療法は勧められるか
CQ19 トラスツズマブ投与中もしくは投与後に病勢進行となったHER2陽性転移・再発乳癌に対して、抗HER2療法を継続することは勧められるか
CQ20 転移・再発乳癌に対してベバシズマブおよびその他の新規分子標的治療薬は勧められるか
CQ21 乳癌骨転移に対してビスフォスフォネートは勧められるか
CQ22 乳癌骨転移で疼痛がある場合、非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬は勧められるか
CQ23 乳癌肝転移に対して動注化学療法は勧められるか
CQ24 乳癌脳転移および髄膜播種に薬物療法は勧められるか
●特殊病態
CQ25-a 高齢者乳癌に対して術後薬物療法は勧められるか
CQ25-b 高齢者の転移・再発乳癌に対して薬物療法は勧められるか
CQ26 トリプルネガティブ乳癌に対して標準的なアンスラサイクリンあるいはタキサンを含む治療は勧められるか
CQ27 乳腺悪性葉状腫瘍の遠隔転移に対して化学療法は勧められるか
CQ28 妊娠期乳癌に対して化学療法は勧められるか
CQ29 局所進行乳癌に対して局所動注化学療法は勧められるか
CQ30 局所進行乳癌(StageIIIA、IIIB、IIIC)に対して集学的治療は勧められるか
CQ31 炎症性乳癌に対して集学的治療は勧められるか
CQ32 男性乳癌に対して薬物療法は勧められるか
CQ32-a 術後薬物療法
CQ32-b 転移・再発男性乳癌
CQ33 精神疾患を合併した乳癌患者において乳癌の薬物療法は勧められるか
CQ34 原発巣の明らかでない腋窩リンパ節転移(原発不明、腺癌)に対しては、乳癌に準じた治療が勧められるか
●効果予測因子
総論
CQ35 ホルモン受容体陰性乳癌に対して内分泌療法は勧められるか
CQ36 多遺伝子アッセイ(OncotypeDX、MammaPrintなど)を術後化学療法を行うかどうかの判断に用いることが勧められるか
CQ37 CYP2D6の遺伝子多型をタモキシフェンの治療効果予測検査として調べることが勧められるか
●副作用対策
総論
CQ38 化学療法による悪心・嘔吐に対して5-HT3受容体拮抗型制吐薬、ステロイド、アプレピタントは勧められるか
CQ39 化学療法による好中球減少に対してgranulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)および経口抗菌薬は勧められるか
CQ40 内分泌療法によるホットフラッシュの対策として薬物療法は勧められるか
CQ41 アロマターゼ阻害薬使用患者における骨粗鬆症の予防・治療にビスフォスフォネートは勧められるか
CQ42 ビスフォスフォネート製剤の有害事象は何か、その対応策はどのような方法が勧められるか
CQ43 妊孕性維持のために化学療法中にLH-RHアゴニストを使用することは勧められるか
CQ44 化学療法終了後、内分泌療法中~終了後に妊娠は可能か
CQ44-a 化学療法、内分泌療法終了後の妊娠は安全か
CQ44-b 内分泌療法中の妊娠は安全か
●その他
CQ45 化学療法施行にあたりインフルエンザワクチン接種は勧められるか
CQ46 B型肝炎ウイルス感染既往のある乳癌患者に対する化学療法は勧められるか
CQ47 乳癌治療として補完・代替療法は勧められるか
●付1.初期治療における主な併用化学療法
●付2.化学療法レジメンの処方例
●付3.薬剤一覧
外科療法
●温存療法
CQ1 非浸潤性乳管癌に対して乳房温存療法は勧められるか
CQ2 StageI、IIの浸潤性乳癌に対する局所療法で乳房温存療法と乳房切除術とでは生存率に差はないか
CQ3 StageI、IIの浸潤性乳癌の局所療法として乳房温存療法は勧められるか
CQ4 術前化学療法で縮小した浸潤性乳癌に対する乳房温存療法は勧められるか
CQ5 乳房温存療法後の温存乳房再発に対して再度の乳房温存は勧められるか
CQ6 乳房切除術において乳房皮膚や乳頭・乳輪は温存し得るか
●腋窩リンパ節郭清・センチネルリンパ節生検
CQ7 臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移陽性患者に腋窩リンパ節郭清は勧められるか
CQ8 術前・術中、臨床的に明らかな腋窩リンパ節転移陽性患者ではレベルI、IIまでの腋窩リンパ節郭清が勧められるか
CQ9 臨床的リンパ節転移陰性乳癌へのセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清省略は勧められるか
CQ10 術後のQOLを改善するためには腋窩リンパ節郭清よりセンチネルリンパ節生検が勧められるか
CQ11 センチネルリンパ節の同定には、色素とアイソトープの併用法を用いるのが望ましいか
CQ12 術前診断が非浸潤性乳管癌の患者に対してセンチネルリンパ節生検は勧められるか
CQ13 センチネルリンパ節に転移を認める患者に対して腋窩リンパ節郭清省略が勧められるか
CQ14 術前化学療法後にセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清の省略は勧められるか
CQ15 胸骨傍リンパ節にセンチネルリンパ節を認めた場合、生検は勧められるか
CQ16 乳房温存手術後の温存乳房内再発に対するセンチネルリンパ節生検は勧められるか
CQ17 腋窩・上腕内側の感覚障害を軽減させるために肋間上腕神経を温存することは勧められるか
CQ18 腋窩リンパ節郭清術後の患側上肢のリハビリテーションは勧められるか
CQ19 リンパ浮腫に対する治療は有効か
●鏡視下手術・non-surgical ablation
CQ20 鏡視下手術は早期乳癌の局所療法と位置付けられるか
CQ21 Non-surgical ablationは早期乳癌の標準的な局所療法として勧められるか
●乳房再建手術
CQ22 早期乳癌の乳房切除後に同時乳房再建は勧められるか
CQ23 術前化学療法後の乳房再建は勧められるか
CQ24 胸壁照射歴のある患者に対する乳房再建は勧められるか
●進行・再発乳癌の外科治療
CQ25 Stage?乳癌に対する原発巣切除は勧められるか
CQ26 同側鎖骨上リンパ節再発に対する外科的摘出は勧められるか
CQ27 乳房切除後の胸壁再発巣に対する外科的切除は勧められるか
CQ28 肺、骨、肝転移巣に対する外科的切除は勧められるか
CQ29 脳転移巣に対する外科的切除は勧められるか
●その他
CQ30 妊娠期乳癌に手術を行うことは勧められるか
CQ31 高齢者に対しても手術療法は勧められるか
CQ32 乳癌手術時の予防的抗菌薬投与は勧められるか
CQ33 潜在性乳癌に対して、乳房非切除は勧められるか
CQ34 乳房切除後疼痛症候群(PMPS)に対する薬物療法は有効か
放射線療法
総論:乳癌放射線療法の基本原則
●早期浸潤性乳癌に対する乳房温存手術後放射線療法
CQ1 早期乳癌に対する乳房温存手術後の放射線療法は勧められるか
CQ2 乳房温存手術後放射線療法の適切な照射法はどのようなものか
CQ2-a 照射野として全乳房照射が勧められるか
CQ2-b 全乳房照射において寡分割照射は勧められるか
CQ2-c 全乳房照射後にブースト照射は勧められるか
CQ2-d 照射法として加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか
CQ3 早期乳癌において乳房温存手術後のリンパ節領域に対する放射線療法は勧められるか
CQ3-a 腋窩リンパ節転移4個以上の患者ではリンパ節領域に対する放射線療法は勧められるか
CQ3-b 腋窩リンパ節転移1~3個の患者ではリンパ節領域に対する放射線療法は勧められるか
CQ4 乳房温存手術後の高リスク群でリンパ節領域に対する適切な照射法は何か
CQ4-a 腋窩リンパ節領域に対する放射線療法は勧められるか
CQ4-b 乳房温存手術後の高リスク群では鎖骨上リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ4-c 乳房温存手術後の高リスク群では胸骨傍リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ5 乳房温存手術後の放射線療法のタイミング
CQ5-a 術後化学療法を施行しない患者では、放射線療法をいつまでに開始するべきか
CQ5-b 術後化学療法の必要な患者では、化学療法を放射線療法に先行させることが勧められるか
CQ5-c 乳房温存手術後に放射線療法と化学療法の同時併用が勧められるか
CQ5-d 放射線療法と内分泌療法の同時併用は勧められるか
CQ5-e 放射線療法と分子標的療法の同時併用は勧められるか
CQ6 術前化学療法で病理学的完全奏効(pCR)となった患者に対して術後放射線療法は勧められるか
●非浸潤性乳管癌(DCIS)に対する乳房温存手術後放射線療法
CQ7 非浸潤性乳管癌に対して乳房温存手術後に放射線療法は勧められるか
●乳房温存手術後放射線療法-その他
CQ8 乳房温存手術後の放射線療法の禁忌
CQ8-a 妊娠中または患側乳房、胸壁への放射線療法の既往がある患者に対して全乳房照射は勧められるか
CQ8-b 背臥位にて患側上肢を挙上できない患者や、膠原病を合併している患者に対して全乳房照射は勧められるか
●進行乳癌に対する乳房切除後放射線療法
CQ9 乳房切除術後の放射線療法は勧められるか
CQ9-a 腋窩リンパ節転移4個以上陽性の患者では乳房切除術後の放射線療法が勧められるか
CQ9-b 腋窩リンパ節転移1~3個陽性の患者では乳房切除術後の放射線療法が勧められるか
CQ10 乳房切除術後の放射線療法における適切な照射法は何か
CQ10-a 乳房切除術後の放射線療法では胸壁を照射野に含めることが勧められるか
CQ10-b 乳房切除術後の放射線療法では鎖骨上リンパ節領域を照射野に含めることが勧められるか
CQ11 術前化学療法が奏効した場合に乳房切除術後放射線療法は勧められるか
CQ12 乳房切除術後の放射線療法のタイミング
CQ12-a 乳房切除術後に化学療法の必要な患者では、化学療法を放射線療法に先行させることが勧められるか
CQ12-b 乳房切除術後に放射線療法と化学療法の同時併用が勧められるか
CQ13 乳房切除術後の再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
CQ13-a 筋皮弁による再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
CQ13-b インプラントによる再建乳房に対する放射線療法は勧められるか
●有害事象
CQ14 二次がんや対側乳癌の発症を考慮しても、乳癌術後の放射線療法は勧められるか
●転移に対する放射線療法
CQ15 乳癌の有痛性骨転移に対して放射線療法は勧められるか
CQ16 乳癌脳転移に対して放射線療法は勧められるか
CQ16-a 少数個の乳癌脳転移に対して最初に定位手術的照射を行うことは勧められるか
CQ16-b 多数個(4個を超える)の多発乳癌脳転移に対して最初に全脳照射を行うことは勧められるか
CQ17 乳癌局所・領域リンパ節再発に対して放射線療法は勧められるか
診断
●術前化学療法
CQ13 術前化学療法の効果判定において画像診断は視触診に比較して有用か
●初期治療後フォローアップ
CQ14 初期治療後フォローアップとして、以下は勧められるか
CQ14-1 問診・視触診
CQ14-2 マンモグラフィ
CQ14-3 再発徴候に関する患者教育
CQ14-4 婦人科検診
CQ14-5 血液検査
CQ14-6 胸部X線
CQ14-7 胸腹部CT
CQ14-8 肝臓超音波検査
CQ14-9 骨シンチグラフィ
CQ14-10 MRI
CQ14-11 FDG-PET
CQ14-12 腫瘍マーカー
●遠隔転移
CQ16 遠隔再発時の生検は勧められるか
●術前化学療法と病理学的効果判定
CQ22 術前化学療法後、病理組織学的に治療効果を判定することは勧められるか
●ホルモン受容体
CQ23 内分泌療法の適応決定に対してホルモン受容体の検索は勧められるか
CQ24 免疫組織化学的方法によるホルモン受容体の判定はどのように行えばよいか
●HER2検査
CQ25 HER2検査は乳癌の治療方針決定に勧められるか
CQ26 HER2検査として免疫組織化学的方法は勧められるか
CQ27 HER2検査としてFISH法は勧められるか
略語一覧
索引
内容:金原出版ホームページより
目次
薬物療法(初期治療(術前治療;術後治療)
転移・再発乳癌の治療 ほか)
外科療法(温存療法;腋窩リンパ筋郭清・センチネルリンパ節生検 ほか)
放射線療法(早期浸潤性乳癌に対する乳房温存手術後放射線療法;非浸潤性乳管癌(DCIS)に対する乳房温存手術後放射線療法 ほか)
診断(術前化学療法;初期治療後フォローアップ ほか)