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マクロ経済動学: 景気循環の起源の解明(単行本) 単行本 – 2023/11/21

4.7 5つ星のうち4.7 10個の評価

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第67回 日経・経済図書文化賞「特賞」受賞!

新しい景気循環理論を解説する画期的な一冊。景気循環を引き起こす原因を外生的なショックに求めず,経済主体の同調行動を引き起こす冪乗則(パワーロー)に注目し,ミクロの相互作用がマクロの変動を生み出すメカニズムを解明。
<主な目次>
序章 景気変動の起源
 第1部 マクロ経済モデル
第1章 景気循環理論
第2章 ニューケインジアン・モデル
第3章 マクロ経済の異質的個人モデル
 第2部 ミクロからマクロ振動へ
第4章 ミクロ起源の総投資振動
第5章 物価振動
第6章 資産価格とマクロ経済:準備
第7章 資産価格振動と市場による学習
終章 自律変動する3つのマクロ経済変数

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商品の説明

著者について

楡井 誠(にれい まこと)
東京大学大学院経済学研究科教授
1994年,東京大学経済学部卒業,2002年,シカゴ大学Ph.D.(経済学)取得。2001年,サンタフェ研究所ポストドクトラルフェロー,2004年,ユタ州立大学経済学部助教授,2006年,カールトン大学経済学部助教授,2008年,一橋大学イノベーション研究センター・大学院商学研究科准教授,2015年,財務総合政策研究所総括主任研究官,2017年,東京大学大学院経済学研究科准教授,2019年より現職。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 有斐閣 (2023/11/21)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2023/11/21
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 250ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4641166218
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4641166219
  • 寸法 ‏ : ‎ 15 x 1.6 x 21.2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.7 5つ星のうち4.7 10個の評価

著者について

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楡井 誠
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2024年2月5日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    本書は、景気循環の原因を従来の外生的なショックに求めるのではなく、経済主体の同調行動に注目し、その背後にある冪乗則に焦点を当てています。特に、ミクロレベルの相互作用がマクロレベルの変動をどのように生み出すのかというメカニズムを解明しています。

    構成は以下のようになっています。
    ・序章では景気変動の起源について紹介
    ・第1部「マクロ経済モデル」では、景気循環理論、ニューケインジアン・モデル、マクロ経済の異質的個人モデルについて説明
    ・第2部「ミクロからマクロ振動へ」では、ミクロ起源の総投資振動、物価振動、資産価格とマクロ経済の準備、資産価格振動と市場による学習などが議論
    ・終章では自律変動する3つのマクロ経済変数について詳述
    となります。

    学部上級〜院初めでマクロ経済学に関心がある読者にとって非常に価値のあるリソースです。
    7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2025年3月1日に日本でレビュー済み
    経済学に複雑系の手法を取り入れた野心的な学術書です。

    すべての需給は安定せず、なぜ変動するのか?

    この古くて新しい問いに、べき乗則、砂山くずし、美人コンテスト、情報の不均衡など複雑系のアイデアを取り入れると、内生的振動が生まれ、創発現象が発生するようです。

    さらにSNSが普及すると経済学を大きく飛躍させるかも?と予感させる一冊です。
  • 2023年12月31日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    RBCやニューケインジアン・モデルに代表されるように、現在の主流派マクロ経済学すなわち動学一般均衡理論は、経済変動の源泉をショックに求めている。著者は、こうした動学一般均衡理論に複雑系分析手法を導入して、経済の内発的変動メカニズムを組み込みんだ。その論文は、影響力の大きい国際的学界誌にいくつも掲載されている。本書は、動学一般均衡理論の基本から著者の最先端の研究までを250ページ足らずで鳥瞰しようとするものである。
    本書の第Ⅰ部は、経済変動の源泉をショックに求めるマクロ経済モデルの解説となっている。そこでは、RBCやニューケインジアン・モデル、そして異質的個人モデルの本質が、これ以上ないほどに簡潔かつ平易にまとめられている。「目から鱗が落ちる」思いがした。ただ、その素晴らしさを理解するためには、議論があまりに本質に絞られている(この叙述スタイルは、ある意味著者の尊敬する根岸隆に通じる)ため、大学院のコア・コースを一通り終えて、数式の海を一旦自力で潜り抜けたくらいの予備知識が必要になるのではないか。予備知識が、著者が推薦する齊藤誠らによる中級マクロ経済学の教科書程度であれば、読み進めるのにかなり苦戦すると思う。
    本書の第Ⅱ部は、いよいよ著者のオリジナルな貢献である経済の内発的変動メカニズムに関する分析の紹介である。設備投資や資産価格の変動に関しては、ケインズの「アニマル・スピリット」や「美人投票」のような現象を経済主体の合理的選択の帰結として描写し、その背景となる数学的背景・条件を明確に示している。また、物価の変動に関しては、「定常インフレ率が高い経済ほど、短期的なインフレ率の変動が大きい」という金融政策的にも大きな含意がある現象に、巧妙な説明を与えている。複雑系分析手法が導入されるため、数学的ハードルは一気に上がる。しかし、著者はここでも自身の研究を噛み砕いて説明し、なんとか「解ったような気にさせる」努力を惜しみなく行っている。
    ここまででもお腹一杯なのだが、最も興味深いのが終章である。ここでは著者の分析の問題意識が、1970年代から80年代にかけて日本の経済学者が精力的に取り組んだ不均衡分析の影響を大きく受けていることを明かしている。ただ、当時の経済学者とは、政府の介入の必要性、とくにマクロ財政金融政策に関するスタンスは大きく異なる。学部時代に岩井克人ゼミで不均衡動学を学び、その後、シカゴ大学で主流派マクロ経済学を叩き込まれ、サンタフェ研究所で最先端の複雑系分析手法を習得した著者らしいと思う。著者は、主流派マクロ経済学が、当時の不均衡分析的な要素を概ね吸収したといった趣旨を駆け足で述べている。著者の筆力があればこそ、是非政策担当者向けにこの辺を新書か何かの媒体で敷衍してほしい。なぜなら、ケインズが本当に偉かったのは、一般理論を書いたことではなく、その時点の重要な政策課題について政策担当者を説得し、動かしたことにあると思うからだ。

    (24年3月22日加筆・タイポ修正)有斐閣の「書斎の窓」24年3月号(Webで自由に読める)に、著者による自書評「放蕩息子、帰る」が掲載されている。著者がこの本を書くまで辿った道のりが書かれてあり、本書のとくに第Ⅱ部と終章をより深く、背景から理解するためには必読である。
    評者(私)には、著者が「放蕩息子」であるとは到底考えられない。むしろ世界的には異端である不均衡分析と主流派マクロ経済学の距離を埋めることに30年以上も真摯に取り組み、かつ国際的評価を得た稀有な学者である。本当に本書の第Ⅱ部は革新的である。
    ただ、同時に学部上級生や政策担当者(実務家)が本書を本当に理解するには高いハードルが存在するとの印象も変わらない。これには上述したような数学的手法の難しさがあるが、これ以外には、(とくに政策担当者にとって、)具体的にどのようなまたどの程度の市場介入が望ましいか、本書で紹介されたモデルからは必ずしもクリアにイメージできないことが挙げられよう。
    いずれにせよ、政策応用も含めマクロ経済学を生業にしたい人は、一度は手にすることを推奨する。ただし、かなりの覚悟を要することを付言する。

    (24年11月13日再加筆)
    本書は、日経経済図書文化賞の「特賞」を受賞した。林文夫以来の快挙である。理論書ということであれば、(評者の記憶が正しければ)40年以上も前の岩井克人の「不均衡動学」(岩波版ではない原著の方)以来のこととなる。そして、その岩井克人の愛弟子である著者が、師と同じ賞をとったということに、この受賞の真の意義がある。問題意識は、無事受け継がれたのである。本書はこの40年間余りという時間が凝縮されているといってよい。これから本書を手に取られる若い世代の方々には、単なるマクロ経済学の教科書としてではなく、この重みを是非感じてもらいたい。
    最後に、著者の益々のご活躍を祈念する。と同時に、理論家に対して欲張りな要求と承知の上で、日本の経済政策への関与も期待したい。
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