フリーライターとして活動する「筆者」のもとに、あるいわくつきの物件についての調査依頼が舞い込んでくる。調査を進めるにつれて浮かんでくる11の間取り図。一見、時代も場所も違う、なんの関連も無いように見える間取り図たちが、一つの線で繋がっていく。
ホラー作家、WEBライターとYouTuberとして活動し、代表作『変な家』シリーズは累計100万部を突破している著者の雨穴氏。性別、本名、素顔などなどあらゆることが非公開の覆面作家でもある。 本書『変な家2 11の間取り図』はYouTubeの動画を元に作成された前作『変な家』の続編であり、「筆者」と建築技師の「栗原」のやりとりはこの作品の名物となっている。 この作品は聞き込みや現地に赴き間取り図を集める取材パートと、間取りに隠された意図を建築技師の栗原と推理する推理パートの二つのパートに分けられる。
この本を読んで私が何より興奮するのは、時代、地域、用途など何もかもが異なる間取り図たちに、一つの線が結ばれていく推理パートの完成度の高さである。謎の答えがわかった時には一種の快感が脳裏を駆け巡る。そんな快感もありつつ、どこかへばりつくような不気味さが最後まで抜けない。そんな相反する感情と満足感をこの本はもたらしてくれるだろう。
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