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「なぜ働いていると本が読めなくなるのか。」 多くの人は、仕事が忙しくて本を読む時間がないから。と答える人が多いかもしれない。しかし、それだけが理由だろうか。 この本の著者である三宅香帆さんは、文芸評論家である。彼女は文芸評論家になる前にはIT企業に勤めていた。子供の頃から本を読むことが好きだった彼女は社会人になると全く本を読まなくなってしまった。そのことにショックを受け、 「仕事」と「仕事以外の時間」を両立させるにはどうすれば良いのかに疑問に思って、この本を執筆した。
この本は日本の近代以降の労働史と読書史をひもとき「歴史上、日本人はどうやって働きながら本を読んできたのか?そしてなぜ現代の私たちは、働きながら本を読むことに困難を感じているのか?」「なんで現代はこんなに労働と読書が両立しづらくなっているのか?」(p.22) という問いについて考えた本である。
読書時間が減っている原因は労働時間の増加なのだろうか。高度経済成長期の読書と労働の関係についてみてみると、「80年代の終わりごろ、平均1日10時間以上働くフルタイムの男性労働者の割合が3人に1人ほどになっている。」(p.145)しかし、本書によると当時では『窓際のトットちゃん』は500万部、『サラダ記念日』は200万部も売れているようだ。長時間労働しているサラリーマンは右肩上がりで増加しているはずなのに、本は読まれている。読書時間が減少している原因は労働時間の増加ではないことがわかる。
本書によると、現代において読書時間が減っている原因は、仕事が忙しいからではなくインターネットやスマートフォンの普及である。なぜインターネットの情報を見るのに、本は読めないのか。それは、インターネットでは自分の興味のない情報が除去され、ほしい情報だけ与えてくれるからである。それと比べると本は、興味のある情報だけでなく自分の興味のない情報も提供される。
私も高校生からスマートフォンを使い始めたが、その頃から本を読む量は減少した。なぜ本を読む時間が減少したのかを疑問に思っていたので、この本を読んで、その答えに納得した。私もインターネットの記事を見て、時間を潰してしまうことがあり、この本を読んですごく反省した。現代は効率よく自分の欲しい情報を手に入れることができる。しかし、自分の欲しい情報だけ手に入れると自分の考えが偏ってしまう。忙しいとついつい自分の欲しい情報だけを見てしまうが、色々な情報を手に入れることが大事だと思った。
私はもうすぐ学生から社会人になる。社会人になるとますます忙しくなって、自分の時間がなくなるだろう。その中でも社会人になっても本を読む時間を作っていきたいと思った。また、本も自分が普段読んでいるジャンルだけでなく、他のジャンルの本も読んでいきたいと思った。
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