書誌レビュー一覧 1件~2件(全2件)

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11の間取り図

雨穴著. -- 飛鳥新社, 2023. -- (変な家 / 雨穴著 ; 2).
ISBN:9784864109826
総合評価:

1

人を狂わせる間取りのヒミツ

フリーライターとして活動する「筆者」のもとに、あるいわくつきの物件についての調査依頼が舞い込んでくる。調査を進めるにつれて浮かんでくる11の間取り図。一見、時代も場所も違う、なんの関連も無いように見える間取り図たちが、一つの線で繋がっていく。

ホラー作家、WEBライターとYouTuberとして活動し、代表作『変な家』シリーズは累計100万部を突破している著者の雨穴氏。性別、本名、素顔などなどあらゆることが非公開の覆面作家でもある。
本書『変な家2 11の間取り図』はYouTubeの動画を元に作成された前作『変な家』の続編であり、「筆者」と建築技師の「栗原」のやりとりはこの作品の名物となっている。
この作品は聞き込みや現地に赴き間取り図を集める取材パートと、間取りに隠された意図を建築技師の栗原と推理する推理パートの二つのパートに分けられる。

この本を読んで私が何より興奮するのは、時代、地域、用途など何もかもが異なる間取り図たちに、一つの線が結ばれていく推理パートの完成度の高さである。謎の答えがわかった時には一種の快感が脳裏を駆け巡る。そんな快感もありつつ、どこかへばりつくような不気味さが最後まで抜けない。そんな相反する感情と満足感をこの本はもたらしてくれるだろう。


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2

集う11の謎 繫がる1つの真実

 どこが変なのだろう?
 
 フリーライターである筆者の元に数々の不思議な間取り図が送られてくる。筆者は不思議な間取り図の秘密を解くために、それぞれの持ち主に取材を行う。そしてその中の11枚に、ある繋がりが見えてきた。筆者はこれらの家の図面を知人の設計士である、栗原に相談しに向かう。栗原とともに謎を解き明かしていくうちに、明らかになる様々な家族の形。そこから見える各々の家族の秘密が、1つの答えにたどり着く。
 
 2024年の3月より上映中の『変な家』。その原作者であるウェブライターの雨穴は、現在上映中の作品と2022年に発売された『変な絵』に続き、2023年にこの本を発売した。
 本書の前半は取材パート、後半は栗原との推理パートとなっている。取材パートを読み進めていくと、まるで自分が筆者になったかのように感じられる。どうしてこの家はこのような構造をしているのか?そう考えながら読み進め、答えが出た時の爽快感が心地よい。それに対し謎が明らかになるにつれ、じっとりと襲い掛かる不気味さが癖になる。
 
 もしかしたら私の家も、「変」なのかもしれない。
 この本を読んだ人は必ずそう思わされるだろう。


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